日本人のポジティブ・イリュージョンを理解する。
昨年1年間、女性リーダーの育成で関わった経営者からの相談は、
『女性リーダーの意識改革』でした。
経営者からは、「まず本音に近い不満を引き出してほしい」という依頼があったので、4名のリーダーひとりひとり胸の内を聞いていくことになったんです。
ほぼ全員が「ポジティブ・イリュージョン」の不満を抱えていたのです。
※ポジティブ・イリュージョンとは、能力・業績・性格などを実際以上にポジティブに評価する認知の歪みで、誰もがもつ心理傾向である。・・・と榎木博明氏はいう。
みんな声を大にして、こんな風に訴えてきました。
『聞いてくださいよ!私、こんなに頑張っているのに、ちゃんとやってるのに、ぜんぜん認めてくれないんです!!わかってくれないんです!!!もう、言っても無駄なんだなって思ったら言う気もうせて・・・。もっと状況を理解してもらいたいんです!!』
お~、溜まってるね~。
こんな気持ちじゃ、冷静に上司や経営者と話なんてできないもんね。
・・・と私の心の声。
不満を100%なくすのは難しいのですが、どうしてズレ感が広がっていったのか?それは上層部と現場の価値観の違いなんです。『こんなに頑張ってる!』『ちゃんとやってる!』というレベル感の違いが、双方の不満を作ってる。
特にこの記事の中で興味深かったのは、日本人が何に「ポジティブ・イリュージョン」を抱くか・・・という点。
日本人の場合、まじめに働くこと、誠実に仕事をすることに価値を置く傾向が強い。そのため、欧米人のように自分は他の人より「能力が高い」「成果を出している」といったポジティブ・イリュージョンよりも、自分は他の人より「まじめに働いている」「誠実に仕事に取り組んでいる」といったポジティブ・イリュージョンを抱きやすい。それなのに、なぜそこを評価してくれないのかという不満をもつわけだ。
これは、日本の企業において、営業や販売など数字が見えやすい職種であれば、できたかできないかのズレ感は少ないかもしれないけれど、「企画職」や「事務職」、「研究職」など成果もさることながら質なんかも問われる職種だと尚更、
『がんばっているのに、わかってくれない!』という不満を作ってしまう。
とはいえ、結果も出していないのに曖昧に評価することはできない・・・。
「評価」の定義はいろいろあると思うのですが、たとえば彼ら彼女らが「がんばっている」ことを認めている(=評価ともいう)ことをわかってもらうために、上層部が経営者が適度な声かけをすることが求められてくる。
あ、もちろん曖昧なほめ言葉より、行動を承認する言葉がオススメです。
・お客様に丁寧に対応していたね。
・そこまでチェックしてくれると安心。
・忙しい中、新規対応に積極的でありがとう。
いつもの職場にひとこと添える工夫をしてみてください!
最初は照れます。誰でも・・。
照れなくなるまで言えるようになったころ、その不満は消えるでしょう。
お試しあれ♪